地方公会計のQ&A集です。

制度概要

 

財務書類(一般会計等)

 

財務書類(全体・連結)

 

固定資産台帳

 

活用

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質問:財務書類を効率的に作成する方法があれば教えてください。

質問:財務書類を効率的に作成する方法があれば教えてください。

回答:財務書類作成の効率化に有用と考えられる項目を挙げると以下のとおりです。

・統一的な基準や複式簿記の理解

財務書類作成にどうしても必要な手続き、簡略化が可能な手続きを見極めるため、一見遠回りなようですが、統一的な基準や複式簿記を十分に理解することが財務書類作成の効率化のため最も重要です。(理解すべき基準は参考資料及び解説を参照してください)

・財務書類作成業務のルーティン化、 マニュアル化

財務書類は、一旦作成してしまえば大半は年次更新作業の繰り返しです。照会様式や手順を定め、年中行事としてルーティン化することで作業は大きく効率化します。また、誰でも同じ作業が実施できるようマニュアル化しておくことも必要です。

・予算科目と財務書類の勘定科目の一致

特に資金仕訳については予算科目と財務書類の勘定科目を一対一に対応させることにより、仕訳を効率的に作成することが可能となります。

なお「予算科目と財務書類の勘定科目の一致」について、和光市ではこれを予算仕訳と名付け導入を行いました。その取組みは「実践例にみる公会計、公認会計士が指南する仕組みづくりと体制整備」和光市役所財政課(2019年5月現在は政策課に所属)公認会計士山本享兵 第一法規 第2章「和光市入庁から「予算仕訳」の仕組みの構築まで」に詳しく書かれていますので、参照してください。

参考資料

〇「今後の新地方公会計の推進に関する研究会報告書」(平成26年4月)

「統一的な基準による地方公会計マニュアル」ほか

質問:公有財産台帳や物品台帳といった既存の台帳と固定資産台帳が併存しており、二重の作成負担が生じています。事務の効率化、固定資産台帳の活用促進のためデータの一元化を進めるにあたり、注意すべき参考資料を教えてください。

回答:既存台帳と固定資産台帳のデータの一元化を行うにあたり、特に注意すべき主な参考資料は次のとおりです。

・両台帳に必要な情報と必要となる時期の確認

・台帳情報を搭載するシステムの検討(場合によってはシステムの改修が必要となる)

・計上単位の検討(公有財産と固定資産の計上単位が必ずしも同じではない(固定資産は耐用年数ごとに計上するなど)ため計上単位の検討が必要である)

・台帳の更新フロー見直し(公有財産等と固定資産等で要求される情報や時期を考慮し、かつ簡便な計上フローの構築が必要。また更新マニュアルの作成、研修会等の実施が望まれる)

・公有財産台帳等に係る規定の改定(規定の変更を要する場合)

 

固定資産台帳と公有財産台帳のデータの一元化については、参考資料に記載している総務省の報告書に、東京都、浜松市、宇城市、和光市の一元化例が掲載されています。

また、和光市の一元化の取り組みは 「実践例にみる公会計、公認会計士が指南する仕組みづくりと体制整備」和光市役所財政課(2019年5月現在は政策課に所属)公認会計士山本享兵 第一法規 第4章「公共施設マネジメントに役立つ固定資産台帳の整備と正本化の取り組み」に詳しく書かれていますので、参照してください。

参考資料

〇総務省「地方公会計の活用の促進に関する研究会報告書(平成30年3月)」P5、P10

質問:固定資産台帳は公表することとされています。公表にあたり、どのような点に気を付ければよいでしょうか。

回答:原則として、全ての項目についてエクセル形式等の編集可能なデータ形式で公表することとされています。

ただし、HP上で公表する際に、データ容量の都合上、全ての項目を編集可能なデータ形式で公表することが困難である場合には、未利用資産の有効活用の観点から、最低限、事業用資産及びインフラ資産について、「所在地」「件名(施設名)」「取得年月日」「取得価額等」「増減異動後簿価(期末簿価)」「用途」「売却可能区分」「時価等」「数量((延べ床)面積)」「減価償却累計額」「財産区分(行政財産・普通財産)」を公表することも考えられる(Q&A追加 3(1)No.1)とされています。

 

固定資産台帳は、民間事業者によるPPP/PFI事業への参入促進を図る観点等から、公表を前提とすることとされています(「資産評価及び固定資産台帳整備の手引き」第5項)。また、公共施設マネジメントの一環として、保有資産の一層の有効活用を推進するため、地域での資産情報の共有による地域住民間のコミュニティの活性化、民間事業者との連携による未利用資産等の活用が重要であることから、整備した固定資産台帳については、資産の用途や売却可能区分を含めて公表することが求められています(公共施設マネジメントの一層の推進について)。

なお筆者も固定資産台帳をHPからダウンロードし分析を行うことがありますが、PDFであったり、金額情報(Q&A追加 3にはないが耐用年数も)がなく分析不能な場合があります。せっかく公表するのであれば、利用者の利便性について考慮していただくと非常にありがたく思います。

参考資料

〇総務省 統一的な基準による地方公会計マニュアル「資産評価及び固定資産台帳整備の手引き」第5項

〇「公共施設マネジメントの一層の推進について(平成28年11月7日 総務省財務調査課長通知)」

〇総務省 統一的な基準による地方公会計マニュアル「質問&A追加 3 台帳の手引き(1)No.1」(平成29年8月18日 総務省財務調査課長通知)

質問:地方公会計の活用ということがよく言われますが、活用にはどういったものがあるのでしょうか。

回答:地方公会計の活用とは、住民等への説明責任の観点や、行財政運営の内部の意思決定や管理を行う観点から地方公会計の財務情報を利用しようとするものです。解説に活用の全体像を記載していますので、参照してください。

また、地方公会計の活用例については、参考資料に記載している総務省の報告書のほか、東京都をはじめとする新公会計制度普及促進連絡会議のホームページにおいて先進的な取組み事例が紹介されていますので、参照してください。

 

【活用の全体像】(総務省 統一的な基準による地方公会計マニュアル「財務書類等活用の手引き」より抜粋)

1 行政内部での活用

・マクロ的視点

財政指標の設定・・財務書類に係る各種指標を設定

適切な資産管理・・将来の施設更新必要額の推計、未収債権の徴収体制の強化

・ミクロ的視点

セグメント分析・・予算編成の活用、施設の統廃合、受益者負担の適正化

行政評価との連携

2 行政外部での活用

・情報開示

住民への公表や地方議会での活用

地方債IRへの活用

PPP/PFIの提案募集

参考資料

〇総務省 統一的な基準による地方公会計マニュアル「財務書類等活用の手引き」

〇総務省 「地方公会計の活用のあり方に関する研究会報告書(平成28年10月)」

〇総務省「地方公会計の活用の促進に関する研究会報告書(平成30年3月)」

新公会計制度普及促進連絡会議ホームページ

質問:固定資産台帳の活用にはどのようなものがあるでしょうか。

回答:以下、固定資産台帳の活用例を記載しています。

【固定定資産台帳の活用例】(総務省「地方公会計の活用の促進に関する研究会報告書(平成30年3月)」P13より)

1 内部利用の例(固定資産台帳の作成)

  • 固定資産台帳の情報と、耐震診断や耐震化の状況、利用者数、稼働率等の情報を組み合わせることにより、公共施設の統廃合の検討や効率的な施設運営方法の検討等に活用する。
  • 固定資産台帳の情報をもとに、公共施設等の維持管理・修繕・更新等に係る中長期的な経費の見込みを算出すること等により、公共施設等総合管理計画や個別施設管理計画を充実・精緻化する。
  • 予算の要求や査定において、施設の更新の要求があった際に、固定資産台帳を確認し、取得年月日や耐用年数の情報から施設毎の経年状況等を比較・分析し、公共施設の老朽化対策等についてメリハリのある予算編成を行う。
  • 更新が必要な設備について減価償却累計額を基金の積立額の目安とする。
  • 固定資産台帳から当年度の増減取引を抽出し、取得や除売却等手続きの内容を確認する。
  • 現物との照合を定期的に行い、職員の不正流用、盗難、滅失等を未然に防ぐといった資産の保全に活用する。

2 外部利用の例(固定資産台帳の公表)

①地方公共団体が保有している資産の情報を公表することにより、住民により開かれた自治体運営を行う。

②公共施設の情報を公表することにより、民間事業者によるPPP/PFIに関する積極的な提案を促進する。

③資産の売却可能区分等を公表することにより、民間事業者における用地取得等の検討を促進し、公有財産の有効利用を図る。

 

参考資料

〇 総務省「地方公会計の活用の促進に関する研究会報告書(平成30年3月)」P13

質問:地方公会計の財務書類や固定資産台帳等の情報を監査で活用することは可能でしょうか。また活用の方法について教えてください。

回答:地方公会計の財務書類や固定資産台帳等の情報を監査で活用することは十分可能です。以下、活用例を記載していますので、参照してください。

【監査における活用例】(経験に基づく筆者の個人的見解による)

1.マクロ的な視点での活用例

①他団体比較、経年比較により、団体の特徴や課題を発見する。

②固定資産台帳による更新費の試算により、将来的な財政負担や財源対策、公共施設等総合管理計画等における施策の妥当性を検証する。

③資産、負債の推移、債務償還可能年数等から、団体の持続可能性を検証する。

④連結精算表より、財務状況の思わしくない会計や団体を特定し、課題を検討する。

 

2.ミクロ的な視点での活用例

①固定資産台帳から当年度の増減取引を抽出し、取得や除売却等手続きの内容を確認する。

②固定資産台帳から老朽化が進んだ固定資産を抽出し、老朽化対策等の施策の妥当性を検証する。

③固定資産台帳から長期間動きのない建設仮勘定を抽出し、妥当性を確認する。

④定期監査等の対象部署の固定資産を抽出し、管理や稼働状況の確認を行う。

⑤徴収不能引当金の計上対象について、回収や管理の適切性を確認する。

⑥投資損失引当金、損失補償等引当金の計上対象について、所管部署の管理体制や施策の妥当性の確認、将来の財政負担の可能性を検証する。

  • 退職手当引当金のなどに対する財源対策の妥当性や十分性を検証する
  • 事業や施設の受益者負担割合より使用料の妥当性を検証する(セグメント別財務書類作成の場合)。
質問:地方公会計を活用していきたいと思うのですが、庁内の理解が得られません。どうすればよいでしょうか。

回答:庁内においては、まず首長に地方公会計の有用性を理解してもらうよう働きかけること、地方公会計の財務書類や固定資産台帳からどのような情報が得られるのか、またこれを整備することによるメリット(解説参照)等を説明し、庁内での理解者を増やしていくこと、議会や住民への説明に用い、外部から地方公会計に期待を寄せてもらうこと、近隣他団体と共同で分析等を行い有用性を高めるなど、地道に努力することが必要と思われます。

 

地方公会計の活用先進団体と言われる団体の状況を見ると、首長が地方公会計に対し非常に熱心である、地方公会計に明るい職員がおり常日頃から地方公会計のメリットを説明したり職員向け研修会を開催したりしている、実際に活用し成果を上げている、議員から質問があり取組んだといった声が聞かれます。

なお、地方公会計のメリットにはいろんな考え方があると思いますが、筆者の考えるメリットは次の通りです。

・財務数値の一覧的把握、特に固定資産の見える化

・世界共通言語である会計と複式簿記の概念の導入(住民と共通言語で話ができる)

 

複式簿記については、職員や議員に理解しやすいよう、ふせん紙を使って複式簿記の仕訳を行い、地方公会計の財務書類を作成する演習を実施しているところがあります。下記のサイトにアクセスいただくと、開発者の砥部町バージョンをアレンジした「統一的な基準」バージョンの演習を公開していますので、ぜひご活用ください。

「地方公会計ツール」

 

質問: 財務書類からはどのようなことがわかるのでしょうか。

回答: 資産や負債の保有状況、発生ベースによるコストの状況、コストに対する受益者や税の負担の状況、資金獲得能力や獲得した資金の使途などがわかります。特に、資産には今後の公共施設の更新等を考える上で重要な固定資産が含まれています。参考資料に記載している報告書に財務書類の見方の詳しい解説がありますので、参照してください。

 

財務書類は「貸借対照表」、「行政コスト計算書」、「純資産変動計算書」、「資金収支計算書」の4表(「行政コスト計算書」と「純資産変動計算書」を結合して3表とすることも可)から構成され、一般会計等、全体(公営企業等の特別会計を含む)、連結(出資団体や一部事務組合等を含む)の単位で作成されます。

貸借対照表には、年度末における資産、負債、純資産(資産から負債を差し引いた純粋な財産であり、過去の税や使用料等からコストを差し引いた累積から構成される)が計上されています。

行政コスト計算書には1年間の発生ベースによるコストと使用料及び手数料等の収益が計上され、その差額である純行政コストが計算されます。

純資産変動計算書には、1年間の純資産の変動項目(行政コスト計算書に計上した純行政コスト、税収や補助金、その他の純資産の変動要素)が計上され、1年間の変動額である純資産変動額が計算されます。

資金収支計算書は、3つの区分(業務活動、投資活動、財務活動)における1年間の資金的な収入および支出が計上され、1年間の資金収支差額が計算されます。

財務書類ではさらに注記、附属明細書を作成することとされており、注記には財務書類の作成方針や財務書類に表れない財務情報、附属明細書には財務書類の明細情報が掲載されています。

より詳しい情報を入手するには、注記、附属明細書も参照してください。

 

参考資料

〇総務省「地方公会計の活用の促進に関する研究会報告書(平成30年3月)」P27~P37

質問: 固定資産台帳からはどのようなことがわかるのでしょうか。

回答: 固定資産台帳とは、地方公共団体が保有するすべての固定資産(固定資産の詳細は解説参照)を一覧表示するもので、保有する固定資産の総量、取得に要した金額、取得年月日、所在地、所管部署、財産区分(行政財産・普通財産)、償却資産(建物、工作物、物品等)については耐用年数とこれまでの減価償却の状況、売却可能区分などがわかります。

また、固定資産台帳情報を分析することにより、固定資産の老朽化状況の把握や将来的な固定資産の更新費の試算を行うこともできます。

 

固定資産とは、1年を超えて保有する財産であり、対象は公有財産及び重要物品とほぼ共通しています。

相違する点として、道路等のインフラ資産、ソフトウェアといった無形の固定資産、リースやPFI等による資産、建設中の資産(建設仮勘定)も計上すること、金額情報が必須であること、建物、工作物等の償却資産は減価償却を実施することが挙げられます。また、物品については、通常重要物品となるものを固定資産として計上します。固定資産台帳への計上単位は、原則として耐用年数の異なるものごとに計上します。

団体に所有権が帰属する資産を固定資産として計上するため、廃棄または取り壊し、売却を行った場合は、固定資産台帳の登録から外す処理を行います。そのため、固定資産台帳には保有する固定資産のみが計上されます。ただし、管理者と所有者が異なる指定区間外の国道や指定区間の一級河川等(以下、所有外資産と言う)は、所有権は団体に帰属しませんが、管理状況を把握するため固定資産台帳に登録することが望ましいとされています。その場合でも所有外資産は貸借対照表には計上せず、注記を行います。

なお、投資及びその他の資産として計上される、出資金や長期貸付金、長期延滞債権も固定資産ですが、いわゆる固定資産台帳には計上せず、資産負債内訳簿などの台帳による管理をすることが一般的です。

質問:財務書類の分析手法や留意点について教えてください。

回答:財務書類の分析手法として、実数分析、指標分析、経年比較(趨勢分析)、基準値(目標値)比較、近隣・類似団体比較といった手法があります。詳細は以下を参照してください。

解説:

各分析手法の詳細は次の通りです。

・実数分析

貸借対照表、行政コスト計算書の数字をそのまま使う分析方法

大きな数字から見て細かい数字にブレークダウンして見ていく

(例)貸借対照表の場合:

資産合計→負債・純資産→流動資産・固定資産→ ・・・

・指標分析(比率分析)

実数から各種の比率を算出し、判断する分析方法

住民一人当たり資産額のように非財務指標と組み合わせると有効である

・経年比較(趨勢分析)

基準年度の数字に対する増減の状況を分析する方法

異常な動きに注目し、重大な問題の発生を早期につかむ

・基準値(目標値)比較

実数や指標を基準値(目標値)と比較し、その達成度を分析する方法

・近隣・類似団体比較

実数や指標を近隣・類似団体又はその平均値と比較する方法

また、留意すべき点として一時的な要因(たとえば災害の影響などの特殊要因)、会計処理方法、前提条件の相違があると正確な分析が行えないため、注記等を参照し、特殊要因を補正し分析することが望ましいと言えます。

特に、固定資産は評価方法に幅があるため団体により評価方法が相違したり、固定資産台帳の精度にばらつきがあり、同じ固定資産を同条件で保有していたとしても金額が大きく相違する場合があります。固定資産金額の補正を行わない場合は、資産に関する指標(住民1人あたり資産額や純資産比率)は参考程度としてとらえる必要があります。

質問: 財務書類の分析指標について教えてください。

回答: 総務省の統一的な基準の分析指標には次のものがあります。

計算式や指標の意味は、参考資料に記載している報告書を参照してください。

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指標の計算式は都度見直され変更されているため、最新の計算式は総務省「地方公会計の推進に関する研究会報告書(平成 30 年度)」を参照してください。

また、財務情報の入手先として、各団体が公表する財務書類のほか、 参考資料に記載している総務省ホームページに財務書類の分析結果や財務書類情報が一覧で入手できる形で掲載されていますので、参照してください。

その他、財政状況資料集にも、各団体の有形固定資産減価償却率、施設類型別の有形固定資産減価償却率等の情報が掲載されています。

参考資料

〇総務省「地方公会計の推進に関する研究会報告書(平成 30 年度)」P30~P40

〇総務省ホームページ「平成28年度 統一的な基準による財務書類に関する情報」留意事項及び解説

質問:セグメント分析ということばを最近よく耳にします。セグメント分析とはどのようなものでしょうか。

回答:施設、事業等のより細かい単位(セグメント)で財務書類を作成し、施設、事業等の単位でコスト等の分析を行うことにより、予算編成、資産管理、行政評価等の財政マネジメントに活かしていこうとするものです。

セグメント分析の先進取組み事例が、総務省「地方公会計の活用の促進に関する研究会報告書(平成30年3月)」P64~P83で紹介されているので参照してください。

統一的な基準で求められる財務書類の最小単位は、連結精算表に掲載される会計(及び団体)ですが、特に一般会計において保有する資産や事業数は多数にのぼり、分析により課題が発見された場合においてもそれがどこから生じているのかがわかりづらいという問題がありました。セグメント分析では一般会計等の会計よりより細かい単位でこれを行うため、課題や成果が把握しやすく、また他団体と同種のセグメントの財務書類の比較を行うことで、会計単位よりもより有効な分析を行うことが期待されます。

なお、統一的な基準において、施設や事業等のセグメント別財務書類の作成は必須ではありません。したがって統一的な基準上は、これらのセグメント別財務書類の作成はあくまで内部管理上のもので、任意という位置付けです。そのため各団体のニーズに応じ、自由に作成単位を設定することができます。

ただし、セグメントにおける課題の発見や改善の方向性の検討のためには、他団体比較を行うことが有用であり、その場合、単位や作成方法を統一しておく必要があります。

 

参考資料

〇総務省「地方公会計の推進に関する研究会報告書(平成 30 年度)」P8~P29

〇総務省「地方公会計の活用の促進に関する研究会報告書(平成30年3月)」P64~P83

質問:セグメント別財務書類はどのように作成すればよいのでしょうか。

回答:先行団体では、事業別等の単位でセグメント別財務書類を作成できるようシステム改修を行っているところもあります。また、会計別等財務書類の数値のうち、セグメントにかかるものを抽出し、エクセル等により作成している団体もあります。後者については手作業となる部分が多いため、対象とするセグメントを絞り作成することが現実的です。

詳細な作成手順は、参考資料に記載している総務省の報告書P27~P28、P62~P68に記載されていますので、参照してください。

 

セグメント別財務書類を有効に活用するためには、作成するセグメント単位の決定が重要です。セグメントの単位は、セグメント別財務書類の作成目的により大きく異なります。以下は目的ごとのセグメント単位例です。

単位例 目的(例)
公の施設 施設マネジメント、使用料の見直し、情報開示
事務事業 行政評価、予算、計画への反映
所属 所属のマネジメント

 

セグメント別財務書類の作成目的にもよりますが、毎年セグメント別財務書類を作成し、比較分析を行うのであれば、同じ作成方法が継続的に適用されている必要があります。そのためには、セグメント別財務書類の作成マニュアルや、共通的経費の配賦基準などを設けるとともに、どのような資料、データを用いたか、どのように配賦等を行ったかといった算定過程を明確にしておくことが必要です。

また、セグメント別財務書類を継続的に作成する場合は、セグメントコードを設け、固定資産や仕訳情報にセグメントコード情報を付すようにすると、セグメント別財務書類を効率的に作成することが可能となります。

 

参考資料

〇総務省 「地方公会計の推進に関する研究会報告書(平成 30 年度)」P8~P29、P62~68