地方公会計の概要 

新年度の始まり、新たに地方公会計の担当になられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような担当者様に向けて、地方公会計とはどういうものか、担当者として知っておくべき地方公会計のあれこれについて解説していきます。

 

地方公会計って?

まず、地方公会計とは何でしょうか?
地方公会計とは、地方公共団体に民間企業のような複式簿記、発生主義会計を導入しようというもので、この会計制度を「地方公会計」、「地方公会計制度」と呼んでいます。

地方公会計では、現行の歳入歳出決算書に加え、貸借対照表、行政コスト計算書、純資産変動計算書、資金収支計算書の4つの決算書を作成します。
なお、地方公会計では、この4つの決算書を、「財務書類」と呼んでいます

この4つの財務書類については、また詳しくお話しますね。

地方公会計による財務書類は、現行決算を補完するという位置付けのもと作成するもので、法律上の義務付けられているものではありませんが、平成31年3月31日時点で、1,695団体(全団体の94.8%)が作成済み(一般会計等財務書類)となっています。
詳細な作成状況はこちら

 

コラム
地方公会計は、以前は「新地方公会計制度」と呼ばれていました。
総務省における取組みが始まって久しいことから、平成26年度にこの地方公会計の会計基準が大きく変わって以降、「新」がなくなり、地方公会計と呼ばれるようになりました。
「新公会計制度」と呼んでいる団体もあります。
例えば、東京都をはじめとする団体が加入する「新公会計制度普及促進連絡会議」という組織がありますが、そこではこの会計制度を「新公会計制度」と呼んでいます。

 

どのような経緯で導入されたの?

地方公会計の取組みは非常に古く、1962年に地方財務会計制度調査会が公表した「地方財務会計制度の改革に関する答申」が最初と言われています。
その後、決算統計から財務書類を作成する方法が研究され、平成12年より総務省でも取組まれるようになりました。
その後、徐々に作成方法が緻密化され、普通会計から会計を合算した全体財務書類、さらに第三セクター等を合算した連結といったように範囲を広げ作成されてきました。

平成18年には総務省において2つの基準(総務省改訂モデル、基準モデル)が公表され、先ほどお話した「新公会計制度普及促進連絡会議」の推進団体である東京都より「東京都方式」による財務書類が公表されるなど、複数の基準が併存する期間が長く続いてきました。
基準が複数あると、財務書類間の比較が難しくなるなどの問題が生じます。
そこで、総務省では基準の統一化に取り組み、平成26年度に基準を統一した「統一的な基準」が公表されることになりました。

総務省における取組みは、こちらでも詳細に紹介されていますので、ご参照ください。

統一的な基準による地方公会計マニュアル(令和元年8月改訂)P4~P6

https://www.soumu.go.jp/main_content/000641075.pdf

 

統一的な基準って?誰に適用されるの?

総務省から公表された地方公会計の財務書類を作成する基準を「統一的な基準」と言います。

総務省からは、都道府県知事、指定都市市長に向け、平成29年度までの間でこの基準に基づいて財務書類を作成し、活用することが要請されています。

要請の通知文はこちら

なお、統一的な基準の適用対象には、都道府県、市区町村のほか、一部事務組合、広域連合も含まれます。統一的な基準における財務書類作成要領では、都道府県、市区町村、一部事務組合及び広域連合が報告主体となることが記載されています。(下記参照)

統一的な基準が対象とする報告主体は、都道府県、市町村(特別区を含みます。)並びに地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「自治法」といいます。)第284条第1項の一部事務組合及び広域連合とします。
総務省「統一的な基準による地方公会計マニュアル(令和元年8月改訂) 」財務書類作成要領6①
統一的な基準の具体的な内容は、総務省が公表するこちらのマニュアルをご覧ください
統一的な基準が公表された当初は、平成26年の報告書に記載された会計処理にかかるルール等を統一的な基準と呼んでいましたが、その後、具体的な実務について記載されたマニュアルや追加のQ&A等が公表されており、必要な事項のほとんどは、この改定後のマニュアルを見ていただくとわかるようになっています。
ただし、改訂後のマニュアルは様式も含めPDF化されているため、公表用の様式や資産負債内訳簿等の帳簿のひな形を入手したい場合は、改訂前のマニュアル掲載ページを見ていただく方が便利です。(利用にあたっては次の注意点をご覧ください)

 

改訂前のマニュアル掲載ページの様式を利用する場合の注意点
令和元年版と比較し、次の点だけ変更となっていますのでご注意ください。

(1)有形固定資産の明細 ③投資及び出資金の明細
市場価格のないもののうち連結対象団体(会計)及び連結対象団体(会計)以外に対するもの
(変更点)表の下に以下の文言を追加する。
※株式会社以外の法人は資本金がないため、「資本金 (E)」以外についてご記載ください。
この場合、出資割合については、地方自治法施行令第140条の7の規定による割合を記載します。(2)負債項目の明細 ④特定の契約条項が付された地方債の概要

(変更点)表の下に以下の文言を追加する。
※ 特定の契約条項とは、特定の条件に合致した場合に支払金利が上昇する場合等をいいます。

地方公会計の最近の動向

総務省ではここ数年、毎年地方公会計の研究会を開催しています。

統一的な基準公表直後は、財務書類の作成や固定資産台帳の整備が主なテーマでしたが、平成28年度決算よりほとんどの団体が統一的な基準に移行したため、現在のテーマは財務書類の分析や活用、より活用するためのセグメント別財務書類の作成などに重点が置かれるようになってきています。

また、先の「新公会計制度普及促進連絡会議」においても、参加団体での定期的な意見交換や共同研究などがなされ、年に1度開催されるシンポジウムなどでも、研究資料や団体における導入事例等の発表がされています。

「新公会計制度普及促進連絡会議」のサイトはこちら

さらに、日本公認会計士協会においても、地方公会計にかかる検討組織を設け、地方公会計の課題等について検討を行っています。昨年には、「地方公会計の論点と方向性」も公表しています。

「地方公会計の論点と方向性」はこちら

 

これだけは見ておいた方がよい、地方公会計担当者必見資料

まずは、先ほどからお話してきた総務省の「統一的な基準」のマニュアルは必ず目を通すことをお勧めします

財務書類の作成や固定資産台帳の整備にあたっては、自団体で作成する場合、委託する場合があると思いますが、いずれの場合においても、作成のルールを知っていることが前提となります。

しかし、このマニュアルは416ページにも及び、ざっと見るだけでもある程度の時間を要しますし、会計や複式簿記の基礎知識がないとなかなかすべてを理解するのは難しいと思われます。

まずは、地方公会計についてやさしく解説している書籍で概要をつかんでから、先ほどのマニュアルを辞書的に参照すると、効率よく必要な知識が習得できます。

地方公会計初心者の方には、こちらの「図解 よくわかる自治体公会計のしくみ」がおすすめです。
http://

 

わかりやすく図解で解説されており、初心者の方でも非常に理解しやすく、また作成から活用まで広く知識が習得できる内容となっています。

実務の教科書としては、こちらの「実践例にみる公会計―公認会計士が指南する仕組み作りと体制整備」もおすすめです。
http://

非常に実践的な内容となっており、特に紹介されている「予算仕訳」や「固定資産台帳の正本化」などは業務に取り入れてほしいものの一つです。

そのほか、最新の総務省の研究会報告書や「新公会計制度普及促進連絡会議」のサイトなども目を通していただきたいところですが、これらについては、必要に応じて、都度ご紹介していきたいと思います。

 

以上が、地方公会計で知っておくべき地方公会計の概要になります。

財務書類の作成方法や主要な会計処理、固定資産台帳の整備方法については、このサイト「地方公会計の基礎講座」でも順次解説していきますので、ぜひそちらもご覧ください。

次のサイトで財務書類の概要について解説しています。

財務書類の概要

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