期末一括仕訳-非資金仕訳その1

前回は期末一括仕訳における仕訳ルールのポイントについて解説しました。

期末一括仕訳における仕訳ルールのポイント

今回は 歳入歳出決算データから作成する資金仕訳以外の部分、非資金仕訳について、2回にわたり解説していきます。

 

非資金仕訳のポイント

非資金仕訳は主に次の2つに分類できます。

 

①資金仕訳を発生主義におきなおすもの

これはいったん資金仕訳で行った仕訳を、発生主義ベースに修正する仕訳です。

 

代表的なものとしては次の二つがあります。

・税収、使用料収入の収入未済額を考慮

・固定資産の売却収入に売却損益を考慮

 

②資金の動きにかかわらず記録するもの

これはお金の動きにかかわらず生じるため、追加的に作成する仕訳です。

 

代表的なものとしては次のようなものがあります。

・有形・無形固定資産の減価償却費の計上

・有形・無形固定資産の除却損の計上

・各種引当金の計上及び取崩し

 

これらの修正の仕訳、追加的な仕訳を統一的な基準では整理仕訳と呼んでいます。

 

今回は、「①資金仕訳を発生主義におきなおすもの」についてお話ししていきます。

 

収入未済額の考慮(収入を発生主義に置き換える)

資金仕訳は歳入歳出決算の現金ベースのデータを元にしているため、現金主義となっています。

しかし統一的な基準による財務書類は発生主義のため、発生主義におきなおす必要があります。

発生主義とは物事が起こったタイミングで記録していく方法で、お金の動きにかかわらず何かものごとが起こればこれを記録していきます。

例えば皆さん Amazon などのサイトでカードを使って物を購入することがあると思いますが、カードが引き落とされる時点で記録するのが現金主義、購入したタイミングで記憶するのが発生主義です。

なお購入には購入のポチッとするタイミングと、物が届いたタイミングのどちらで計上するかという問題がありますが、 通常は物が届いたタイミングです。

歳出決算データは、物が届いたタイミングではなく支払ったタイミングで記録されているため、これを物が届いたタイミングに修正していく仕訳が必要となります。

 

ただし、地方公共団体には出納整理期間があり、3月末までに契約を履行した場合は、3月までの取引として出納整理期間中に支払いを行うという習慣があります。

地方公会計は3月末時点の財政状況を表す計算書ですが、出納整理期間の歳出データを考慮するとほとんど発生主義で仕訳したのと同様の決算が出来上がります。

そのため、ほとんど修正の必要はないのですが、一部ズレが生じるものがあり、それについて修正をしていきます。

代表的なものとして、 税金や使用料などの収入未済額があります。

これは出納整理期間後でもまだ回収ができていないので、歳入決算データ上、収入として反映されていません。

そのため、資金仕訳のデータに追加的に仕訳で計上する必要が生じます。 

 

例を用いて説明します。

 

図の上左側が歳入金額で、右側がその内訳を示したものです。

仕訳上は一旦、①歳入金額で資金仕訳されています。

しかし発生ベースで考えると、右の色付きの部分、③+④が発生主義ベースでの収入金額になります。

そこで①を③+④の金額になるよう修正します。

やり方は、②の金額で昨年度末に計上した収入未済額(BS未収金)を取消し、④の金額で当年度末の収入未済額(BS未収金)を追加で計上します。

これで、NWの税収等の額は発生額(③+④)に置き換わります。

CF税収等収入の金額は、現金で受け取った額を計上するものなので、歳入の金額と変わりません。

そのため、ここではCFに関する仕訳は出てこないことになります。

会計上、この処理を未収金の洗い替えと言います。

民間企業でも通常は現金の入金や支払いのタイミングで仕訳を行い、年度末にこのように発生主義ベースに置きなおすところがほとんどです。 

 

固定資産の売却収入に売却損益を考慮

土地や建物と言った固定資産(公有財産)を売却した時に、現金での収入が入ってくると思いますが、行政コスト計算書上は、入ってきた金額ではなく、元々の固定資産の金額を差し引いたネットの金額で計上することになります。

このネットの金額を売却損益といい、入ってきた金額と固定資産の金額を比較し、固定資産の金額の方が大きければ、その差額は売却損となり、小さければ売却益となります。

土地を売却した例で示すと次の通りです。

journal-hishikintochi

 

こちらも先ほど同様、いったん①の金額で資金仕訳がされています。

歳入額より土地の金額が大きい場合は、差額を固定資産除売却損(③部分)として計上します。

逆に、歳入額より土地の金額が小さい場合は、差額を固定資産売却益(⑤部分)として計上します。

売却することによりなくなった土地は、それぞれ上記の仕訳を追加で行うことにより、うまく調整されることになります。

(なお、資金仕訳の設定で上記の仕訳を記載しましたが、複数パターンの考え方があり、

整理仕訳はそのパターンに応じて変える必要があります)

 

以上が、資金仕訳を発生主義におきなおすものの代表的な仕訳の解説でした。

次回は、非資金仕訳の後半、資金の動きにかかわらず記録するものについて解説します。

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