財務書類の概要

今回は地方公会計の財務書類について解説していきます。

財務書類つて?

前回の地方公会計の概要で、財務書類とは複式簿記、発生主義による決算書で、貸借対照表、行政コスト計算、純資産変動計算書、資金収支決算書の4つの書類を作成するというところまでお話ししました。

地方公会計の概要 

では、財務書類で作成する貸借対照表、行政コスト計算、純資産変動計算書、資金収支決算書とはどのようなものでしょうか。

それぞれ見ていきましょう。

貸借対照表

貸借対照表は、年度末時点における地方公共団体の財政状態を表す決算書で、左側に資産、右側に負債と純資産を計上します。

左側の資産に対し、右側はその調達財源を示しており、負債は将来世代が返済すべきもの、純資産はこれまでの税収や使用料収入の蓄積であり過去・現世代が負担してきたものでもあるため、「世代間負担の公平性を表す決算書」と言われることもあります。 

貸借対照表は略称で BS とも呼ばれます。バランスシートの略で、よく出てくるので覚えてください

行政コスト計算書

行政コスト計算書は1年間のコストを表す決算書です。

行政コスト計算書では発生主義ベースのコストを計上し、使用料や手数料など受益者が負担する収入を差し引きすることで、税金により負担すべき純粋なコストを算出します。

行政コスト計算書はPL とも呼ばれ、プロフィット アンド ロスステートメントの略です。こちらも覚えておいてください。

純資産変動計算書

純資産変動計算書は、貸借対照表の右下の部分、純粋な団体としての財産の金額が、昨年度末から今年度末にかけてどのように増減したかを表す決算書です。

純資産変動計算書はNW とも呼ばれ、 ネットワースステートメントの略です。

資金収支計算書

資金収支計算書は、一年間のお金の流れを表わす決算書です。

お金の流れを表す点で歳入歳出決算書と同じですが、お金の性質に合わせ三つに区分しているところが特徴です。

資金収支計算書はCF とも呼ばれ、キャッシュ・フローステートメントの略です。

こちらもよく出てくるので覚えておいてください。

 

さらに、これらの4つの表に加え、財務書類の作成方法や、財務書類に表れない重要な事項を記載した、「注記」と、財務書類の数値の内訳を示す「附属明細書」をセットで作成します。

よく、4つの表だけ公表している団体も見受けられますが、これらはセットで公表することで意味を持つため、すべて作成する必要があります。

一部、事務負担軽減の観点から、作成の省略が認められるものもあります。これについては、のちほど説明します) 

 

まとめると次の表のようになります。

表名

略称

内容

貸借対照表 BS(バランスシート) ・年度末時点における財政状態を表したもの
行政コスト計算書 PL(プロフィット アンド ロスステートメント) ・1年間のコストを表したもの
純資産変動計算書 NW(ネットワースステートメント) ・一年間の純資産の増減を表したもの
資金収支計算書 CF(キャッシュ・フローステートメント) ・一年間のお金の流れを表わしたもの
注記 ・財務書類の作成方法や財務書類に表れない重要な事項を記載したもの
附属明細書
・財務書類の数値の内訳を記載したもの

 

財務書類からどんなことが分かるかについては、今後、財務書類の見方編でお話ししていきたいと思います。

 

財務書類の作成単位

財務書類はどのような単位で作成するのでしょうか。

財務書類は次の3つの段階で作成することとなっています。

第1段階目:一般会計等

この一般会計等というのは、財政健全化法第2条第1号に規定する「一般会計等」と同範囲です。

旧基準の改訂モデルでは普通会計が最小単位でしたが、統一的な基準からは一般会計等となりました。

第2段階目:全体

全体とは、一般会計等に一般会計等以外の特別会計、公営企業会計を合算したものです。

第3段階目:連結

連結とは全体に、第三セクターや一部事務組合・広域連合を合算したものです。

これらの単位で、 先ほどお話した4つの財務書類と注記、附属明細書を作成していきます。

 

これを表にまとめると次のようになります。

(省略可能な表を※3、※4に記載しているので、ご参照ください)

この中で、精算表というのは、会計や第三セクター等の財務書類を合算するための表で、これも公表対象とされています。

 

コラム

財務書類を作成する過程で、複式簿記では補助簿を作成します。補助簿とは固定資産の内訳を示す固定資産台帳や、 収入未済額や貸付金などを整理するための帳簿です。

固定資産台帳は通常、財務書類を作成するための資料であり、民間企業にしても、公営企業にしても公表していませんが、統一的な基準では固定資産台帳の公表が求められています。これは、公共施設等のデータの「見える化」、民間からの提案を積極的に引き出すといったことが前提にあるとのことです。

 

【参考】「PPP/PFI推進アクションプラン(平成29年改定版)」(平成29年6月9日民間資金等活用事業推進会議)

PPP/PFIを推進するに当たっては、公共施設等総合管理計画等の策定や固定資産台帳等の整備及び公表を行うことを通じて公共施設等のデータの「見える化」を推進するとともに民間からの提案を積極的に引き出すことが不可欠であり、国及び地方公共団体の取組を着実に進めることが必要である。 

 

次回は、財務書類の作成方法について解説していきます。

財務書類の作成方法

 

記事を気に入っていただいたら、ぜひイイネボタンをお願いします。

(SNS等へのリンクはありません)

大変励みになります。

2+