【参加報告】町田市行政経営監理委員会「自治体間比較により見えてきた財務諸表の課題と今後の利活用」

1月28日、町田市で「2018年度 第2回 町田市行政経営監理委員会」が開催され、今回のテーマは公会計でした。傍聴してきましたので、概要をご報告します。

町田市 行政経営監理委員会とは

町田市の行政経営監理委員会とは、町田市の「行政経営改革プラン」の進行について、外部の有識者専門委員の意見も取り入れながら検討する委員会です。

取組みの概要はこちら

www.city.machida.tokyo.jp

会場の前方には、構成員である市長、副市長、関係する部長、専門委員3名と、テーマの地方公会計の関係者がずらっと並び、傍聴者がまた多くてざっと見たところ200名くらいでしょうか、人があふれんばかりで熱気むんむんの中始まりました。

町田市の公会計制度の概要

町田市では、2012年度より市町村では初めて日々仕訳による地方公会計制度を導入しており、非常に多くのセグメント別財務諸表を作成し、これを行財政運営に実際に活用していることで非常に有名です。冒頭の市長の挨拶で、町田市は「新公会計制度のトップランナー」として走っていきたいとおっしゃっていましたが、まさにトップランナーにふさわしい取り組みをされているところです。

町田市の公会計制度についてはこちら

www.city.machida.tokyo.jp

取組みの全体像が分かりやすい資料はこちら

http://www.kaikeikanri.metro.tokyo.jp/291107machidashi.pdf

今回のテーマは、第一部として町田市の公会計制度の現状、第二部として地方公会計財務諸表を使った自治体間比較についてでした。

第一部 新公会計制度の現状

第一部で印象に残ったお話は次のとおりです。

・公共料金値上げ、公共施設の集約など、住民の理解、職員の理解が必要なことがどんどん増えてくるが、これまでの行政のやり方はパワーポリティクスであり、感情に訴えるというやり方だった。しかし、今後はデータで見せていくことが必要。

・行政評価を使って成果を見せ、合わせて問いかけをすることが大事

・どうしていくか、という議論はするが、どうなっているかを押さえることがおろそかになりがちである。

→データを踏まえて議論することの大切さ、そのとおりですね。

データがないとどうしても主観的になってしまったり、感情論になったり、一部の声の大きい人に引きずられたりということになりがちだと思います。その時々によって判断が変わったり。

最近、地方公会計の財務諸表や固定資産台帳のデータが出そろってきました。このデータをもとにある団体の分析をして説明したところ、目からうろこが落ちたと言われました。普段の業務で数字を確認するということ自体が少ないのかもしれません。

・財務諸表はコミュニケーション手段である。

→確かに、民間企業はマネジメントや納税に使うほか、株主への報告に利用しています。また、会計は世界の共通言語でもありますので、外部の人と共通言語で、また同じ物差しで話ができるというようにもとらえることができます。

 第二部 新公会計制度を活用した自治体間比較と今後の可能性

第二部の財務諸表を使った自治体間比較については、昨年参加した連絡会議主催の公会計ミーティングでも取り上げられていました。

町田市、江戸川区荒川区福生市で構成する「財務諸表自治体間比較検討会」でこの検討を行っています。

4団体の共通点は、東京都の公会計制度について学ぶため東京都に職員を派遣していたことです。

出向に行っていたメンバーが自主的な取り組みとして立ち上げたのが、「財務諸表自治体間比較検討会」なのだそうです。

「財務諸表自治体間比較検討会」では、ミクロレベル(町田市が作成している財務諸表の最小単位である、課別や事業別と言った単位)での財務諸表の比較方法の確立を目指し、検討を進めています。

実施している取組みとしては、大きく以下のようになります。

・比較に有効な事業類型(例えば、使用料を徴収する施設、図書館のように使用料を徴収しない施設、国保のように債権管理が重要となる事業といったような類型)を選ぶ

・事業類型ごとに有効な分析指標を作る

・比較様式をつくる

・モデル事業で分析

モデル事業としては、体育館、図書館、国保、防災を対象とし、分析からどのようなことがわかるかを実証的に検証されています。

特徴的なのは、指標を組合せたポートフォリオ分析で複数の事業の位置づけが視覚的にわかるようにしていること。

そして、やってみると、固定資産計上範囲が異なり資産評価額に差異が生じていることや、自治体間で事業の内容や処理方法に差があることなどがわかり、差異の調整方法などについても検討されています。

このような先行的な取り組みはとても重要ですね。

詳細は、下記の配布資料をご覧ください。

資料1

資料2

資料2補足

そのあと、ゲストの総務省財務調査課の課長補佐から、コメントがありました。

総務省ではおおむね毎年地方公会計の研究会を開催しており、私も委員の末席を汚しているところなのですが、今年度のテーマの1つにセグメント分析があります。

課長補佐からは、総務省の研究会において、セグメント財務書類の作成の基本的な考え方や作成手順について検討しているところとお話がありました。

また、東京都会計管理局の新公会計制度担当課長からお話がありました。

人材育成が重要と考えていること、他の自治体から研修生を受け入れ、人材育成を推進していきたいというお話がありました。

今回の財務諸表自治体間比較検討会の取組みも、東京都に出向されていたメンバーによるものですし、東京都の取組みや人材育成の成果が出てきているように思います。

私が知っている他の団体も、東京都から職員の派遣や、情報提供を受けていました。

そのほか、毎年東京都が中心となりシンポジウムを開催されています。

自身の活用についてはまだまだと謙遜されていましたが、この公会計制度の発展における東京都の功績は絶大だと思います。

そのあと、専門委員の先生からコメントがあり、財務諸表を町田市の特産物にしよう、財務諸表で町おこし、財務諸表の町へようこそ、など笑いを誘うような場面もありました。

最後、市長からは締めくくりとして重要なお話が。

財務諸表は、住民になぜ税金を納めていただかないといけないのかを説明する手段である。

公会計というと、手段や手法に行ってしまいがちであるが、目的(アカウンタビリティとマネジメント)が重要であると。

そして思ったのですが、町田市が地方公会計のトップランナーであるのは、この市長あってのことだと。

市長が一番の旗振り役であるからこそ、職員の方がのびのびと新たな取り組みにチャレンジし、結果を出しているのだと思いました。

 町田市の自治体間ベンチマーキングの取組み

町田市ではこの地方公会計の事業別等の財務諸表のほか、国保業務や市民税業務などの法定業務について自治体間で比較を行う自治体間ベンチマーキングの取組みをされています。こちらも、やはり近隣自治体とのいろんなデータ比較を通じ、課題の把握や改善の取組みを行おうとするものです。

詳細はこちら

www.city.machida.tokyo.jp

世の中の移り変わりが激しく、少子高齢化や公共施設の老朽化など行政のかじ取りがどんどん難しくなる中、一団体でできることはだんだん限られるようになってきているのだと思います。

このような共同の取り組みを通じ、業務の共通化や共同実施などにもつながっていくことが期待されます。

自治体間ベンチマーキングは私も注目しているところなので、またの機会に取組を研究し、ご報告したいと思います。

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