【参加報告】公会計推進ミーティング2018に参加しました

新公会計制度普及促進連絡会議(以下、連絡会議という)主催で毎年開催されている、新公会計に関するセミナーが、2018年11月15日に品川区立総合区民会館きゅりあん)にて開催されました。

http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/10/15/01.html

今回は、定員300名のところ満席とのことで、会場は熱気に包まれていました。

私は、この連絡会議のセミナーに、初期のころから毎年参加しています。

毎年、連絡会議の構成団体が、実際の新公会計制度の導入手順や、活用事例を報告しており、毎回非常に有意義な内容となっています。

今年は、公会計推進ミーティングと名称が変更され、連絡会議の構成団体だけでなく、総務省財務調査課、連絡会議に今年からオブザーバーとして参加している千葉県習志野市、統一的な基準の適用団体である熊本県宇城市もスピーカーとして登壇されていました。

詳細な内容は、今後連絡会議のHPで掲載されると思いますので、そちらをご覧いただきたいのですが、自分の備忘も兼ね、速報で概要をお知らせします。

目次

「統一的な基準による地方公会計の推進について」 総務省自治財政局財務調査課課長補佐 大宅氏

最初は、総務省の地方公会計の取組にかかる講演でした。

人口減少や、公共施設等の老朽化など、地方公会計が必要となっている背景や統一的な基準の概要、総務省における地方公会計の研究会等の説明がありました。

ご存知の方も多いと思いますが、総務省では今年度、研究会にワーキンググループが設置され、セグメント分析手法の検討を実施しています。

ワーキンググループには、東京都中野区、愛知県日進市滋賀県長浜市佐賀県唐津市、鹿児島県和泊町の5団体が参加し、施設別財務書類の試行作成を行いました。

例えば以下のような点について議論したと紹介がありました。

・職員の年齢構成によって人件費コストが変わるため、実額でなく平均単価を用いるのがよいのではないか。

・セグメント別の財務情報を効率的に抽出するためには、財務会計上で事業コード、施設コードの情報を付与しておくことが必要。

セグメント分析の活用例として、統一的な基準活用マニュアルにも掲載されている、浜松市宇城市浦安市の事例が紹介されていました。

そのほか、総務省の研究会では、財務書類を用いた指標の再検討も行っています。

以下の説明がありました。

「社会資本等形成の世代間負担比率」

社会資本形成の負担ではない臨時財政対策債を除くことを検討中。

基礎的財政収支

基金の積み立て、取崩しも含めているが、これを含めると、基金の積立て余力のある団体が黒字に、余力がなく取り崩している団体が黒字になるという逆の現象が起こってしまうので、含めない方向で検討中。

内閣府の算定式でも積立金の積み立て、取崩しは除いている

「債務償還可能年数」

都道府県では80年、100年といった年数が出てきてしまう。

所有外資産の支出が業務支出に入っているが、実質的には投資的な支出であり業務支出からは除くべきとの意見があり、除くことを検討中。

ただし、当面、公会計の数値でなく決算統計による予定である。

そのほか、総務省では各団体の財務書類データを集計して公表し、地方財政見える化に取り組む予定とのことです。

最後に、参加者から事前に寄せられた質問に対する質疑応答がありました。

(司会者)財務書類の情報を公共施設等総合管理計画に利用するため、自治体が留意するべき事項や事例について教えてほしい。

総務省)固定資産台帳と総合管理計画のベースとなる公有財産台帳、資産台帳と情報が結びついていない場合があるので、同じコードを振って突合できるようにすることが必要。

宇城市では台帳データを踏まえて、総合管理計画の見直しをしたとのこと。

(司会者)インフラ資産の評価が異なることで、他団体と比較できない。どうすればよいか。

(大宅)基準モデル等の台帳を引き続き使うことができるとされており、異なる場合がある。注記されているのでそれを見て比較する。他団体比較でなく、経年比較等で見ていくというのもある。

(司会者)セグメント分析の方法について不明点が多い。

(大宅)先ほど説明した通り、セグメントWGを設置し、検討を進めているところである。どこまでが対象となるのか、配賦基準なども検討している。1月に報告書において、作業手順、計算の考え方等について示す予定である。

次は、「現場からの報告」のパートです。

千葉県習志野市熊本県宇城市、東京都世田谷区からそれぞれ報告がありました。

ずいぶん文章が長くなってきてしまいましたので、それぞれ以下要約します。

 「公会計が自治体を変える~習志野市の公会計改革~」 習志野市会計課課長 関根氏

習志野市では過去、基準モデルを採用し、現在統一的な基準による日々仕訳を導入されたところです。

基準モデル時代に固定資産台帳を整備し、平成26年3月には台帳情報と公会計のコスト情報を掲載した、公共施設再生計画を公表されています。

また、平成28年3月には、公共施設等総合管理計画において、インフラ・プラント系施設について、固定資産台帳を用いて施設の中長期的な更新費用の試算をされています。

習志野市では、平成29年度決算から日々仕訳を導入することにされていますが、これに合わせ、施設コード(習志野市ではこれを施設マイナンバーと呼んでいます)を設け、予算執行の時点すなわち支出伝票を作成する際に、支出を施設コードごとに振り分けるよう、財務会計システムを改修しています。

これまでの方法では、例えば光熱水費など複数施設にまたがる支払いがあった場合、担当課に照会して施設ごとの金額を把握し、施設別コストを集計していたそうですが、集計の手間がかかることや検証可能性が低いこと、施設ごとの情報が把握できず、集計できない支出が残ってしまうなどの問題点があったため、より正確で検証可能性の高いデータを得るため、施設マイナンバー方式を導入したとのことでした。

習志野市では、市民向けの決算報告会の開催や、千葉大学と協働で、バランスシート探検隊事業(施設の貸借対照表のレクチャーを受け、実際に現場を視察し、施設や資産、負債について理解を深める)といった活動も実施しています。

そのほか、とても面白いなと思ったのが、習志野市在住のファイナンシャルプランナー5名が集まり、市の資産や負債を盛り込んだ市の家計簿を作成し、過去の状況や他市の状況などから家計簿をチェックするという企画です。

座談会形式で、公会計の専門家や公募市民が参加し、習志野市のライフデザイン、ライフプランについて話し合ったそうです。

市の財政をファイナンシャルプランナーに見てもらう、という取り組みも斬新だし、市の財政というと、いかにも難しそうで、敬遠してしまいがちですが、家計簿やライフプランというと、敷居も低く、身近に感じられます。

とてもいいやり方だなと思いました。

日々仕訳で施設マイナンバーの財務書類ができるのは平成29年度決算からとのことです。来年の公表が楽しみです。

 「熊本県宇城市公会計推進の取組」 宇城市総務部次長兼市長政策室長 天川氏

宇城市では、平成17年に5町が合併し、施設の重複が問題となっていたそうです。

また、旧町ごとに、事業や施設管理の予算編成基準がバラバラでした。

そこで、まず予算を以下のように見直しされました。

  1. 目の下に事業別・施設別の「事業」を設定
  2. 細節の下に、「説明コード」を設定
  3. 委託料、工事請負費、備品購入費などの節の下に「細節」「細細節」を設定

この予算の見直しによって得たデータをもとに、宇城市では過去、施設別貸借対照表と行政コスト計算書を作成し、施設の統廃合に活用した事例は有名ですが、同時に決算統計も自動作成できるようにしたそうです。

平成28年度からは統一的な基準の勘定科目の集計や固定資産台帳の登録が可能なように表記の見直しをされています。

統一的な基準の勘定科目で、具体的に事業別・施設別の「事業」や、「説明コード」、委託料、などの節の下の「細節」「細細節」をどのように設定したかの具体的な説明がありました。

詳細な設定方法は、またセミナー資料がアップされてから参照いただくとよいと思いますが、財務会計システム上、「事業」、「説明コード」、「細節」「細細節」の内容ごとに、自動的仕訳がされるよう設定されています。

予算段階では事業に必要な「事業」や「説明コード」を財政課が把握して財務会計システムに登録し、所管課は執行段階で適切な事業名称、細節、細々節、説明を選択すれば、意識せずに仕訳が切られる仕組みとなっています。

予算書上も、平成28年度からは工事請負費等の資産と費用が混在する項目については、事業用資産なのか、インフラ資産なのか、費用なのか、といったことも表記しているそうです。

また、支出命令書作成の際、固定資産の計上にかかる項目が選択された場合、固定資産台帳の登録をしないと、次に進めない仕組みとなっているそうです。

そのため、固定資産の仕訳をしたが、固定資産台帳に登録されていない、といったミスが起こらず、基本的には仕訳と固定資産台帳が一致することになります。

さらに、話は固定資産台帳整備の話となり、土地については、公有財産台帳に登録されていた土地は3万筆だったそうですが、GISシステムと突合したところ、1万筆は現物が存在せず、合筆等でなくなっていることが分かり、固定資産台帳の整備に合わせ、データを整理したそうです。

また、宇城市では、固定資産台帳も、公有財産台帳も、備品台帳も一つのデータベースで管理しており(これを宇城市では総資産台帳と呼んでいます)、出力条件を変え、固定資産台帳や公有財産台帳、備品台帳を作成しているとのことです。

固定資産台帳と公有財産台帳を併存して作成している団体も多く見られますが、このあたりは参考になると思います。

そして、固定資産台帳整備に伴い公有財産台帳の面積が全く変わってしまったため、今年6月には、公共施設等総合管理計画を固定資産台帳の情報に合わせ更新したそうです。

ただ、大阪北部震災でブロック塀が崩れる事故があり、固定資産台帳を検索したところ、ブロック塀がきちんと登録されていないことがわかったそうで、台帳の精緻化が課題とのことでした。

宇城市の固定資産台帳も公表されているそうですので、ぜひ宇城市のホームページをご確認ください。

「世田谷区の新公会計制度への取組」 世田谷区会計室会計課会計制度担当係長 玉木氏

世田谷区では従来、総務省改訂モデルで財務書類を作成していましたが、事業別や施設別財務書類を作成することを前提に、東京都方式を導入することとされました。

また、東京都方式は基本的に日々仕訳を前提としていますので、世田谷区も日々仕訳に取り組んでいるところですが、平成30年4月より日々仕訳を開始したため、財務書類の作成は平成30年度決算からとなります。

世田谷区の日々仕訳の仕組みとして、支出については、細々節と仕訳が一対一となるように、細々節を見直し、変更したそうです。

歳入については、歳入予算科目ごとに仕訳が自動で作成できるよう設定されています。

平成30年度の予算での細細節の設定が間に合わず、現在は支出命令を打つ段階で細々節を入力し、審査時に会計課がチェックしているそうです。

平成31年度の予算要求からは新しい細々節を設定しているので、次年度の決算からは自動的に仕訳できるようになるとのことでした。

固定資産台帳については、経理課が公有財産台帳に登録すると、自動的に固定資産台帳に登録される仕組みとなっています。建設仮勘定の登録も経理課が実施しているそうです。

あとから筆者が調べたところ、経理課の中に財産管理係や契約係がありますので、経理課は財産管理を行う部署のようです。

事業別や施設別財務書類の作成について、いずれも作成できるよう設計されています。

事業別財務書類は、予算事業単位となります。

また、施設にかかわる支出であれば、支出命令において当該課が所管する施設が一覧で表示され、その中から該当する施設を選択します。複数施設にまたがるものであれば、関係する施設を選択し、それぞれ金額を入力していきます。

どの伝票も事業の情報をもち、施設にかかわるものがあれば施設の情報が追加されることになり、事業ごと、施設ごとに集計が可能となります。事業と施設が一対一の関係ではないので、マトリックスのようになっているイメージだと思います。

さらに、所属別や事業別財務書類を組合せた、施策、政策別の財務書類も作成可能とのことです。

予算事業で約1000、施設で約1100あるとのことですので、かなりの切り口で財務書類を見ることができるようになりそうです。

活用面については、副区長を委員長とした「新公会計制度推進会議」と、関係課長で構成される推進部会や作業部会を設け活用計画を策定するなど、全庁的な取り組みが進められています。

平成30年度決算の公表と、今後の活用に向けた取り組みが楽しみです。

このあとは、現場からの報告その2として、連絡会議における「自治体間比較部会中間報告」と「事業別分析部会」の紹介がありました。

自治体間比較部会中間報告」 東京都会計管理局管理部会計企画課課長代理 吉井氏

最初に、連絡会議において今年度「自治体間比較部会」と「事業別分析部会」の二つの検討部会が設け、財務諸表の比較・分析手法を開発する取り組みを行っていると紹介がありました。

自治体間比較部会では、一般会計(統一的な基準の一般会計等を含む)の財務諸表を他自治体と比較・分析する手法を検討しており、自治体間比較の目標を、「自治体の特徴をわかりやすく住民に説明」することとしています。

参加団体の財務諸表をもとに、統一的な基準の活用手引きに記載されている指標を用いて試算を行ったところ、下記の課題があると報告されていました。

①指標の算式に不明確なところがあり、ばらつきが生じるため、算定ルールが必要

②団体ごとにインフラ資産の評価基準が大きく異なる

地方交付税の財源不足に充てる臨時財政対策債の起債収入が負債に計上される

④国道、一級河川などの国有財産(所有外資産)が貸借対照表の資産に計上されない一方で、地方債の負債が計上され、純資産が小さくなる

また、指標については、統一的な基準の活用手引きにはないものも検討されており、今後このような指標にも着目することが必要かもしれません。

具体的には、下記の指標が提案されていました。

(資産の指標)資産の構成比、資産に対する負債の比率

(負債の指標)有形固定資産に対する負債の比率、地方債残高に対する支払利息の比率

(費用と収入のバランス)費用に対する収入(税収等を含む)の比率

(費用と資産のバランスに関する指標)減価償却費に対する公共施設等整備費支出の比率、有形固定資産に対する維持補修費の比率

今後引き続き、最終報告に向けた検討がされるとのことですので、最終報告を楽しみに待ちたいと思います。

「事業別分析部会中間報告」 町田市財務部財政課課長 増山氏

事業別比較部会では、事業別・ セグメント別財務諸表を他自治体間で比較・分析する手法について検討しており、事業別比較の目標を、「事業別の財務情報を自治体間比較することで他自治体の良い取り組みを取り入れること」としています。

今年度の取り組みとして全自治体が実施している事業として小中学校給食事業を選定し、一食あたり給食調理コストについて9団体の比較を行いました。

団体によりコストが2倍以上となっているところもあります。

そしてその原因を追求し、どういうところで差異が生じているのかを洗い出します。

これにより、他団体の良い取り組み、自団体の課題が明らかとなります。

また、これらの分析の結果、コストで大きな差異が生じているのは、人件費と物件費とのことで、これらについては、内訳を把握することができるようにする必要があるとの提案がありました。

例えば人件費であれば、常勤職員にかかるものか、嘱託職員にかかるものか、臨時職員にかかるものか、といった雇用形態ごとの分類と、物件費については委託料や光熱水費について分けることが提案されています。

これはその通りだと思います。

統一的な基準では、人件費は引当金の繰入を除き全て一括で計上されており、常勤なのか嘱託なのかといった区分がありません。

また、賃金は物件費に計上する団体が多くなっています。

収入にも差異が見られたとのことで、国庫支出金、都道府県支出金、使用料手数料とその他に分けることが提案されています。

これも、統一的な基準では国、県からの補助金を純資産変動計算書に計上するため、行政コスト計算書だけを作成する場合、補助金が無視されてしまう恐れがあります。

補助金もマネジメントには重要な項目なので、収入として把握しておく必要があると思います。

その他、費用対効果やコスト構造が明らかになり自治体間比較が可能となるような、比較分析シートの様式の提案がありました。

今後さらに他の事業でも比較分析し、検証するとのことです。

セグメント分析については、今年度、総務省の研究会でもワーキンググループを立ち上げ検討を行っています。

総務省のワーキンググループでは内部でのマネジメントを重視し、目的に応じたセグメントの単位や財務書類の作成手法が中心で、他団体比較を行うことを必ずしも目的とはしていませんが、このようにセグメント分析の手法が活発に検討されることで、各団体における活用が促進されれば、非常によいなと思います。

非常に長くなってしまいましたが、以上が公会計推進ミーティング2018のご報告になります。

少しでもみなさまのお役に立てれば幸いです。

なお、 今回初めてブログの形で公会計の学びについて記載しました。

今後も積極的に公会計や地方財政について学んだこと、考えたことを発信していきたいと思っています。

皆さんが読んでくださることが励みになります。

ぜひ、質問でも感想でも結構ですので、コメント欄に書いていただけると嬉しいです。

11月19日は、大阪商工会議所主催の「大阪サクヤヒメ 女性管理職 SDGsフォーラム」に参加する予定です。

また、参加結果をご報告しますね。

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